東北でで働く大人

「やってみたい」を原動力に【どんぐり農場_真壁洋輔さん】

「やってみたい」を原動力に

「この景色が見たかったんだよね」

雄大な自然の中を思い思いに過ごす動物たちの姿を見ながら、真壁さんは言う。
「どんぐり農場」は、秋田県男鹿市にある観光牧場。小さな看板を頼りに脇道に入ると、どんぐりの木々が心地よい木漏れ日を注ぎ迎えてくれる。やがて視界がひらけた先には、空の青と混ざるような、広々とした草原。

思わず息を吸い込んだ。

どんぐり農場に暮らすのは、羊とポニー、ヤギ、そして看板にわとりの「ニトリ」。みんな人懐っこい。大切に手をかけて育てられている証拠だ。ここでは、誰でも自由に動物とふれあうことができる。自然や動物に癒されたい人には、これ以上ない場所だ。

この広大な土地で動物を育て、田んぼや畑まで手がけるのは、オーナーの真壁洋輔さん。
知識も何もないところから農場を開いたという真壁さんに、お話を伺った。

「ここに動物を連れてきたい」その一心で開拓

「ここを訪れた時は、何もないただの田んぼでした。そっちの土地も、一歩も入れないくらい、ジャングルみたいなとこでしたよ」

18歳の時、偶然訪れた観光牧場をきっかけに「生まれ育った男鹿にも、いつか観光牧場を作りたい!」と思い描き、その9年後、今の土地と出会った。その美しい景色に、心を打たれ、すぐさま購入を決めたという。

当時建設会社に勤めていた真壁さんは、動物の飼育も農業も、全くのど素人。

そんなところから、観光牧場を作りたい一心で、真壁さんの開拓は始まった。

「ここに動物を連れてきたい。そのためにはまず小屋が必要。簡単な小屋を建てる知識くらいはあったんですよ。これならいけるかなって。でも、今度は馬の小屋に敷く藁(わら)が必要なんです。藁って、買うとすごく高いんですよ。じゃあ自分で作れるようにしようと、田んぼを始めました」

通常、多くの農家は稲の収穫にコンバインを使い、脱穀や選別まで一度に済ませてしまう。そのため、藁にする稲の茎はほとんど残らない。藁を保存する農家も少なく、業者から買い取るのはかなり高価だ。

そこで真壁さんは、手作業で稲を刈り天日干しで乾燥させる、昔ながらの「はさ掛け」を始めた。親子三人で作業をするため大変な重労働だが、これなら自分たちで藁を入手できる。

「ただひたすら、藁が欲しくて。それが米作りの始まりでした。」

長年の夢だった観光牧場を作るため、米作りまで始めてしまう真壁さん。

すべては「この美しい土地に、動物を連れてきたい」という想いが原点だ。

原動力は「やってみたい」

動物の飼育も、田んぼも畑も、全く知識のないところから、長年の夢だった観光牧場を作り上げた真壁さん。その行動力はどこから生まれるのか聞いた。

「とりあえず、やってみようって。それが大事」

「やってみないと、分からないことだらけ。畑なら実際に種を蒔いてみて、出るか、出ないか。それを待ってる間は不安です、知識もない自分ですから。畑の野菜にしても、お米にしても、動物の健康にしても。うまくいくのかなって、自信なんかないです」

淡々と語る真壁さんの穏やかな表情の裏には、ただひたすらに真っ直ぐな「やってみたい」という想いを感じた。

今もどんぐり農場に新しい畑や田んぼを開拓しては、「次は何ができるだろう」と趣向を凝らしている。次は農作業や動物の飼育体験ができる、宿泊型の体験プログラムをやってみたいそうだ。

「気持ちよくて、ずっとここに居たくなります」という私の言葉を、真壁さんは嬉しい表情で噛み締めるように聞いていた。

「そう言ってもらえると、本当に嬉しいですね。自分と同じように動物たちに癒されたり、ここを好きになってくれた人が、何度でも来てくれる場所にしたいです」

長年思い描いてきた夢が、形になったどんぐり農場。

雄大な自然の中でのんびり過ごす動物たちを、真壁さんは柔らかな表情で見つめていた。

これからも、もっと素敵な場所になっていきそう。

その裏にはいつも、真壁さんの真っ直ぐな「やってみたい」があるのだろう。

 

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どんぐり農場では、曜日関係なく午前10時から午後4時頃まで、どなたでも動物と触れ合えます。オーナーの真壁さん、そして可愛い動物たちが、皆様のお越しをお待ちしています
サイト:https://donguri9.wixsite.com/donguri

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どんぐり農場の「はさ掛け米」

取材当日、真壁さんは、田植え体験に来ていた大学生と私達に、

昼食を準備してくれていました。茶碗に盛られたご飯はもちろん、どんぐり農場で育てられた「はさ掛け米」。一束一束、手作業で丁寧に刈られ、太陽の恵みをたくさん受けて天日干しされたお米は、艶やかさもひとしお。口に入れると、やさしい甘みが広がります。決してしつこくない、自然なおいしさ。


LocalQuestでは、どんぐり農場で栽培された「はさかけ米」を販売しています。米どころ秋田で丁寧に育てられたお米を、あなたもぜひ食べてみませんか?

▼どんぐり農場の「あきたこまち」はこちらから購入できます。
https://local-q.com/html/products/detail/5

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【この記事を書いた人】


美波
大学入学を機に秋田に移住。2020年に大学卒業後、ヨガインストラクターとして県内のスタジオやInstagramで活動。#ヨギーの性教育で、役立つ性の情報を発信中。秋田の緑とおいしいお米が大好き。